終身保険は損をしないって本当?気を付けたいセールストーク③
1:損しない終身保険とは?
「死亡保障を一生涯もてますし、
払った保険料は必ず戻るので、絶対に損しない保険です」
掛け捨て保険は嫌だからと、
貯蓄型の保険の相談をすると、
必ずと言っていいほど提案を受ける、終身保険。
払った保険料よりも、
多くの解約返戻金が受け取ることができることが、
一番の魅力でしたが、
過去約6パーセント近くあった標準金利も、
2017年月には、
0.25パーセントに引き下げられたことで、
お金が増えるということへ、
期待が持てなくなりました。
それでも、
保険セールスは巧みなトークを使って、
この終身保険を提案してきます。
まずは、
この保険の内容を詳しく見てみましょう。
1-1:終身保険の内容
終身保険は、
その名の通り、
その身が終わるまで保障をするというものです。
保険をいつまでするのかという、
保険期間は一生涯という設定です。
また、
保険料はずっと変わらず一定です。
そして、
解約した際に受け取れる、
解約返戻金があります。
受け取れる解約返戻金が、
支払った保険料を上回るケースもあり、
貯蓄性があるとは、
この解約返戻金あるからこそ言えます。
1-2:終身保険のメリット
この貯蓄性がある終身保険ですが、
物入りのタイミングで解約し、
必要なものの費用に充てるという使い方ができます。
加入してから、
時間が経過すればするほど、
解約した時に受け取れる解約返戻金は、
大きくなっていきます。
この終身保険に加入する人は、
老後の生活費を貯めたいと考えている人、
重い病気になったときの医療費準備のため、
子供の進学資金を貯めたい人、
相続税対策をしたい人、
という風に、
将来起こることが予想されるイベントに備えて、
加入する人が多いようです。
1-3:終身保険のデメリット
お金を計画的に貯めたい人には、
メリットがあるように思われる終身保険ですが、
デメリットももちろんあります。
1つ目は、
早く解約をした際に、
解約金がほとんどないという点です。
いくら貯蓄型の保険といっても、
保険料の支払いが終わるまでは、
ほとんど元本を割るという仕組みになっています。
契約してから、
数年後と早い段階で解約した時は、
解約返戻金は全くないか、
あってもごくわずかとなります。
2つ目は、
保険料が他の保険と比べて割高という点です。
終身保険には、
解約返戻金が備わっています。
その資金は、
保険会社ではなく、
毎月支払っている保険料からねん出されています。
例えば、
安い保険の種類に定期保険というものがありますが、
保険金だけで比較すると、
保険料の差は歴然です。
3つ目は、
保険料を払い込む期間が長いという点です。
終身保険の払込期間は、
10年以上のものがほとんどで、
60歳、65歳まで支払うという契約が多いです。
一般的なライフイベントとして、
結婚から、子育て、マイホームの取得など、
お金がかかるものが多くある中、
長い期間、保険料を払い続けるということも、
時にはデメリットになりうることもあり得ます。
2:気を付けたいセールストーク
生命保険文化センターが発行している、
「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」
を見てみると、
このようなデータがあります。
・直近加入契約(平成25年から30年)について、
契約した保険種類のうち35.3パーセントが終身保険
・平成27年からの3年間における解約・失効は9.2パーセント
・平成27年からの3年間における解約・失効までの
継続期間は13年1か月
これらのデータを考えると、
同じ保険を長い間継続して加入し続ける人は、
かなり少ないということです。
保険契約者の保険加入状況をずっと把握できませんので、
推測での計算にはなりますが、
毎年契約・失効率が9パーセントで推移した場合には、
100件の契約が1年後には91件になり、
2年後に91件の91パーセントが残る、
という計算をしていくと、
例えば30歳の契約者が、
60歳になる30年後にも残っている契約は、
20件にも満たない計算になります。
実際、
ライフイベントの中で一番お金がかかるという、
マイホームの取得時、
子どもの進学時には、
いくら老後のために加入した保険とは言え、
背に腹はかえられない状況であれば、
保険の解約は、
手っ取り早い方法でしょう。
このようなことを踏まえて、
保険セールスのトークには気をつけねばなりません。
2-1:損をしない保険です
終身保険が損をしないというのは、
「払った保険料よりも解約返戻金が多くなる」
ということを言う場合がほとんどでしょう。
それでは、
そういう状況はいつなのでしょうか?
ほとんどの終身保険は、
保険料の払い込みが終わらないと、
解約返戻金が保険料の金額を、
上回ることはほとんどありません。
さらに、
最近売られている終身保険は、
払い込みが終わるまでの解約返戻率を、
一般の終身保険の70パーセントにすることで、
保険料を安くする、
「低解約払戻型」
が多いように思われます。
「損をしない」
という状況は、
あくまで保険料の支払いが終わった後の話です。
老後の資金作りとはいえ、
何年間保険料を支払い続けなければいけないのか、
その間、
支払いができないという状況がないのか、
しっかりと計画を立てないと、
「損をする」
可能性が高いと言えるでしょう。
保険セールスの、
メリットばかり伝えるトークには、
特に注意が必要です。
2-2:老後のお金を貯めることができます
今や老後とは、
何歳からのことを言うのでしょうか。
企業の定年も60歳から、
65歳、そして70歳と伸びているような状況です。
「老後2000万円問題」
で話題になった、
金融庁の報告書はまんざら嘘でもないようですが、
2000万円を貯めていくために、
今の終身保険を使うということは、
少し無謀のような気がします。
そう考える一番の理由は、
貯蓄型とはいえ、
終身保険でお金を貯めても、
全く増えないからというのが、
一番の理由でしょう。
マイナス金利の影響で、
保険会社の予定利率も引き下げられ、
過去のような予定利率への引き上げは、
は到底期待できません。
また、
今現在のお金の価値と、
何十年後になるかわからない老後お金の価値が、
ずっと同じということはありません。
先行きが不透明な状況の中で、
高い保険料を支払い続けて、
しかもそのリターンが少ないとなると、
別の方法を検討する方が賢明だと言えるでしょう。
終身保険を勧める保険セールスに、
「あなたは終身保険をいくら加入していますか?」
と聞いてみると、
どんな返事が変えてってくるでしょうか。
3:まとめ
最後に、
どうして保険セールスは、
終身保険を売りたがるのでしょうか?
ズバリその理由は、
高い手数料にあります。
ご紹介したセールストークを、
巧みに使いながら、
終身保険はいい保険だと誘導する手法は、
特に外資系の保険セールスが使っています。
本当に最後まで支払い続けることができるのか、
無理な保険料ではないか、
様々な視点から、
あなたのライフプランを考えると、
終身保険が本当にあなたに必要かどうか、
分かってくると思います。