がん保険は必要?2人に1人は本当?気を付けたいセールストーク②
1:最新がん統計
がん保険が日本に上陸したのは、
1974年のこと。
外資系の保険会社により、
広く知られることになりましたが、
1981年にがんが日本人の死因トップになってからは、
更に速いスピードで、
広がりを見せました。
国立がん研究センターでは、
がんに関する情報を公開していますが、
がんに罹患する人の統計データを見ると、
こう書かれています。
・男女とも、がんの罹患数は1985年以降増加
・2012年のがん罹患数は1985年の約2.5倍
・がん罹患数の増加の主な原因は高齢化
これだけを見ると、
がん保険に加入して、
治療費に備えようと考えがちですが、
果たしてそう単純なものでしょうか。
より詳しいデータを元に、
がん保険の必要性を考えていきましょう。
1-1:年齢別がん罹患リスク
こちらも国立がん研究センターのデーを参考に、
がんに罹患するリスクについて解説していきます。
2017年のデータに基づいて、
累積罹患リスクというデータを見てみます。
累積罹患リスクとは、
ある年齢までに、
がんに罹患するおおよその確率を言います。
そのデータによると、
一生涯でがんに罹患する確率は、
男性は65.5パーセント、
女性は50.2パーセントです。
保険セールスが、
がん保険を勧める際に必ず言うのが、
「2人に1人はがんに罹る時代です」
ですが、
このデータを見ると、
間違ったことは言っていないようです。
もう少し詳しくこのデータを見ていきます。
年齢別にがんに罹患する確率を見てみると、
・男女とも50歳代から80歳代までが増加
・20歳代から50歳代前半までは女性が男性より多い
・60歳代以降は男性が女性より顕著に多い
ちなみに、
40歳の男性が20年後までに、
がんと診断される確率は6.9%です。
30歳の男性が30年後までに、
がんと診断される確率は7.4です。
年齢別でみると、
60歳までにがんに罹患する割合は、
1割にも満たないということが分かります。
詳しくデータを見ていくと、
がんに罹患する割合が、
2人に1人とは決して言いきれないと
言えるのではないでしょうか。
1-2:年齢別がん死亡リスク
次に、
累積死亡リスクというデータを見てみましょう。
これは、
ある年齢までに死亡するおおよその確率です。
一生涯でがんで死亡する確率は、
男性23.9パーセント、
女性15.1パーセントです。
ちなみに、
40歳の男性が20年後までに、
がんで死亡する確率は1.6パーセントです。
ほとんどの年齢で、
60歳までに死亡する確率は、
おおよそ2パーセントにも満たないようです。
70歳までに死亡する確率をみても、
約10パーセント前後。
これらのデータを見たうえで、
がん保険を勧める保険セールスが、
どのような話をもとに、
お客様に説明しているのかを
検証してみましょう。
2:がん保険を売る際のセールストーク
先ほどの国立がん研究センターのデータを見ると、
がんに罹患するのは50歳代以降が増え、
それまでの年代が、
60歳までに罹患する確率は、
1割にも満たないというものでした。
これからご紹介すのは、
保険セールスがよく使うセールストークですが、
本当にその話を真に受けて、
高いがん保険に加入する必要があるのかどうか、
ぜひ今一度考えてみるといいでしょう。
がん保険に加入する目的は、
他の保険同様、
がんになった際の経済損失を防ぐためです。
一番大きな経済損失だと考えられるのは、
お金の支出が多い時期に、
がんに罹患してしまった場合です。
一般的に考えられるのは、
結婚して子育てが終わるまでの期間。
子育てにお金がどんどん出ていく時期に、
貯金ができる世帯はそう多くありません。
そんな時期にがんに罹患した時の経済損失は、
家計を大きく圧迫するでしょう。
治療費もそうですが、
仕事ができずに収入も減ってしまう場合もあるので、
そんな時にがん保険の保険金があれば、
経済損失を防ぐことが可能です。
それでは、
セールストークを検証してみましょう。
2-1:がん家系ですか?
冒頭お伝えしましたが、
国立がん研究センターで発表された研究結果によると、
がんは細胞の老化による病気という一面があります。
もちろん、
がんが発病する原因は、
たくさんの要素があり、
全てが解明されているわけではありません。
遺伝によるものという場合も一部あります。
育つ環境によるものもあります。
そして、細胞の老化というものもあります。
しかし、
家族の中に若くして、
がんに罹患した人がいるからといって、
同じように罹患するとは限りません。
先ほどお伝えした、
累積罹患リスクのデータを見ると、
50歳代からがんの罹患者が増えるということから、
遺伝だけががん罹患の原因ではありません。
保険セールスは、
「ご家族の中でがんに罹患した方はいますか?」
と聞きます。
あなたの年齢にもよりますが、
親、兄弟だけでなく、
祖父母、叔父叔母まで含めると、
1人や2人は
がんに罹患したことがある人は
必ずいるはずです。
そのような質問から、
「がんは遺伝なので、罹患するリスクが高い」
と話してくるのは、
ちょっと強引すぎる話かもしれません。
2-2:2人に1人はがんに罹患しますよ?
そして、
「がん保険といえば2人に1人」
と、
まるで合言葉のように話す
このセールストークにおいても、
あまりにもがん保険の加入を促す話にしては、
乱暴な話のように聞こえます。
先ほどの罹患データに、
どの時期にがん保険を検討するべきか、
答えがあると思います。
自分自身の年齢や状況を踏まえて、
どれくらいの保障が必要か、
どれくらいの期間、保障があればいいか、
検討していく必要があります。
どのようなタイプのがん保険を選べばいいかは、
また別の記事にて詳しく解説していきますが、
多くの人が加入している、
「終身保障タイプのがん保険」
が、すべてではありません。
むしろ、
一定期間だけ保障をしてくれる、
「定期保障タイプのがん保険」
も、検討する余地は大いにあります。
これだけがんに罹患する人が増えてくれば、
容易にがん保険の必要性は、
お客様に伝わりやすくなります。
本当に必要な時期に、
必要な補償を得ることができるように、
保険セールスにだけ都合のいい、
がん保険に加入しないように気をつけましょう。
3:まとめ
がんの治療は、
基本的には保険適用の治療から始まります。
健康保険制度を使って、
支出が抑えられるようになっています。
がん治療には、
多額のお金が必要だというのも、
もしかすると保険セールスがささやいた、
証拠のない話かもしれません。
長い期間お金を支払う保険については、
知りえた情報が正しいのか、
それが自分にとって必要なのか、
きちんと検証するために、
自分で調べてみることが、
とても大切なのかもしれません。